BigBang: ニューオリンズのハリケーン被害---なぜ渡航情報を出さない?
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September 03, 2005
ニューオリンズのハリケーン被害---なぜ渡航情報を出さない?
ハリケーン「カトリーナ」によるニューオリンズの被害が、想像を絶する事態になっていることに驚きながらネットを巡回していたら、この期に及んでも、今現在(9月3日昼現在)同地域への外務省による渡航情報が何も出されていないことに気がついた。
外務省海外安全ホームページには、「外務省からのお願い(ハリケーン・カトリーナ)」として
「米国ルイジアナ州およびミシシッピー州に滞在されている方、あるいは待避所へ避難されている方は、日本の留守家族へ御自身の安全等現状を連絡してください。」
とだけは掲示されているが、このサイトによれば同地域への渡航は事実上制限がない状態になっているため、各旅行代理店の、当該地域方面へのツアーにも制限は加えられていない(もちろん旅行会社の判断で自粛しているところはある)。
確かにテロが起きたというような種類の治安悪化ではないが、テレビ等で報道される同市の状態は壊滅状態に近いものであり、同時に略奪や発砲事件、警察力の低下による一部地域の無政府状態など、安全は極端に悪化しているという。
こうした情報が刻々入ってくる中でも、外務省が「渡航情報」に関してそのサイトで
「 現在、渡航情報は出ておりません。」
を宣言し続けるのは、非常識かつ不自然ではないか?あるいは対応を検討しているのかもしれないが、非常事態に、この対応はいかにも鈍である。
以下に、外務省海外安全ホームページから「渡航情報について」の箇所を引用する。
ここで、ビクトリア女王ビクトリア女王のライブをしました
渡航情報とは
渡航・滞在にあたって特に注意が必要な場合に発出される情報で、最新の現地治安情勢と安全対策の目安を示す「危険情報」と、限定された期間、場所、事項について安全対策の観点から速報的に発出される「スポット情報」から成ります。なお「危険情報」では、安全対策の目安として以下の文章が冒頭に示された上で、それぞれの渡航・滞在目的に合わせた安全対策を検討できるよう、本文の中で、きめ細かな情報を提供します。
「十分注意して下さい」
当該国(地域)への渡航、滞在に当たって特別な注意が必要であることを示し、危険を避けて頂くよう、おすすめするものです。
「渡航の是非を検討して下さい」
当該国(地域)への渡航に関し、渡航の是非を含めた検討を真剣に行って頂き、渡航される場合には、十分な安全措置を講じて頂くことをおすすめするものです。
「渡航の延期をおすすめします」
当該国(地域)への渡航は、どのような目的であれ延期されるようおすすめるものです。また、現地に滞在している邦人の方々に対しては退避の可能性の検討や準備を促すものです。
「退避を勧告します。渡航は延期して下さい。」
現地に滞在している全ての邦人の方々に対して、当該国(地域)から、安全な国(地域)への退避(日本への帰国も含む)を勧告するものです。
つまり渡航情報には
「十分注意して下さい」
「渡航の是非を検討して下さい」
「渡航の延期をおすすめします」
「退避を勧告します。渡航は延期して下さい。」
の4段階があるわけだが、ニューオリンズには、このいずれもが出されていないことになる。
一方で、同サイトには
なぜアメリア·イアハートは、彼女の飛行計画を変更しました
「米国南部:ハリケーン・カトリーナの被害を受けたニューオリンズ市への立入規制 」
(2005/09/02)
として
現在、ハリケーン・カトリーナにより甚大な被害を受けたニューオリンズ市
においては、現地の状況にかんがみて救援活動関係者及び緊急事態対応要員を除き立入りが禁止されています。つきましては、同市への立入りは米国政府が規制を解除するまでの間、いかなる目的であれ差し控えるようにしてください。(なお、ニューオリンズ市当局からの強制退避命令等を受け、在ニューオリ
ンズ日本国総領事館も一時的に閉館しており、在ヒューストン日本国総領事館
内に対策本部を設置し邦人援護業務を行っております。各種照会は下記連絡先までお願いします。)(問い合わせ先)
○外務省海外安全相談センター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省領事局海外邦人安全課
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5138
○外務省 海外安全ホームページ:
○在ヒューストン日本国総領事館
電話: (1-713) 652-9011(注:ニューオリンズ総領事館対策本部の番号)
FAX : (1-713) 651-7822
という情報は掲載している。その文面は必ずしも楽観的ではないが、略奪などによる現地の治安状況の悪化については何も触れられていない。単なる立ち入り規制であり、渡航情報で注意が喚起されていない以上、事実上ニューオリンズ地域に邦人が渡航すること自体には制限が加えられているわけではないと読み取れる。
単なる対応の遅れなのか、あるいは殊更の理由があるのか判断しがたいが、現地の惨状との温度差があることは否めない。関係情報があれば、お寄せ願いたい。
政治的infrustructureバングラデシュの汚染された方法
【参考】
今問題になっているアフガニスタン・カンダハールの渡航関連情報については、同サイトによれば、「渡航の延期をおすすめします」になっている。(下記)
.アフガニスタンに対してはこれまでも、危険情報において、カブール、ジャララバード、ヘラート、バーミアン、カンダハール、マザリ・シャリフ各市内に対して「渡航の延期をおすすめします。」を、これらを除く全土に対して「 退避を勧告 します。渡航は延期してください。」を発出しており、また、スポット情報において、累次にわたりテロや誘拐の脅威について注意を促しています(2005年8月16日付けスポット情報「治安情勢」、同7月11日付けスポット情報「首都カブールにおけるロケット弾爆発事件の発生」、同6月30日付けスポット情報「首都カブールにおけるテロ攻撃の脅威」、同6月23日付けスポット情報「治安情勢」、同6月7日付けスポット情報「渡航の危険について」等)。
2005 09 03 [経済・政治・国際] | 固定リンク
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