感動秘話コーナー
『稲むらの火』は、現在の和歌山県広川町で起こった実話です。
明治30年に小泉八雲の著書の中で「生ける神」という物語として紹介されました。小泉八雲のこのお話をもとに教材用につくり直されたのが、「稲むらの火」です。
主人公のモデルとなった人物は、醤油商家の当主だった濱口梧陵氏。
和歌山県広川町の役場前に、今も銅像が立っています。
〜物語スタート(抜粋)〜 ※より詳しくは、絵本等をお調べの上、お読みください〜
これは江戸時代のお話です。
紀州和歌山藩に広村という小さな村がありました。この村に浜口五兵衛という長者さまが住んでいました。
五兵衛は村の人たちから尊敬され、そして愛されていました。
人々は五兵衛のことを親しみをこめて、"おじいさん"と呼びました。
五兵衛の草ぶき屋根の大きな家は、海を見下ろす小さな高台のはじに建っていました。そして五兵衛は家のまわりにある田んぼでたくさんの米をつくっていました。
広村の百に満たない家々は、五兵衛に見守られるように、海と山に挟まれたせまい土地にへばりつくように建っていました。
(中略)
その日は秋だというのにむし暑い日でした。五兵衛は先程から、胸騒ぎを感� �ていました。
「地震だ。」
かすかに地面がゆれるのに気づいて、五兵衛がつぶやきました。
人を驚かすような地震ではありませんでした。長い、のろい、ふんわりとしたゆれでした。たぶん、遠くの方で起こった地震だったのでしょう。
家はめきめきと小さな音をたてましたが、それからすぐにまた静かになりました。
人々が移行する理由
五兵衛は下の村を見やりました。
村の人たちは、何事もなかったかのように、豊作の祭りの準備をすすめているようです。
五兵衛はそのあと、なんの気なしに目を海にうつしました。
すると…
海が、いつもとは違うように見えました。風とは逆の方に波が動いているのです。
そして見る間にそこにはそれまで海の底だったところがあらわれはじめました。
うねったような砂の広場、海藻のからまる黒い岩…。それらは、これまで一度も見たことのない風景でした。
(中略)
五兵衛は孫に向かって言いました。
「忠、大急ぎでたいまつに火をつけろ!」
忠が五兵衛の顔を見ました。
「すぐに、たいまつを持って来い!」
忠は言われたとおりにたいまつに火をつけると、五兵衛に渡しました。
五兵衛はそれをひったくるように持つと、家の前にある田んぼに急ぎました。
そこには五兵衛たちが丹精込め育て、取入れを待つばかりの稲むらがありました。
五兵衛は、その稲むらの端の方から火をつけ始めました。
できるだけ急いで、五兵衛は火をつけて回りました。
間もなく稲むらは次々と炎となって、天を焦がすような大きな火になりました。
「おじいさん、なぜこんなことをするの!」
忠が声をあげました。
忠は体をぶるぶるとふるわせて、稲むらの火と五兵衛を見ていました。
そして忠は泣き出してしまいました。
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無理もありません。今赤々と燃えている稲むらは、五兵衛や忠や皆にとって、とても大切は米のついた稲むらなのです。
五兵衛は全ての稲に火をつけると、たいまつを投げ捨てました。そして村人の誰かがこの火に気づいてくれることを祈りました。
山村の小僧が火に気づきました。
小僧はあわてて早鐘をつきました。
「ゴーンッ ゴーンッ ゴーン……」
山村の大きな鐘の音があたりに鳴り響きました。
村の人たちはこの音を聞いて、はじめて高台の火に気づきました。
五兵衛の目に、村の方から蟻の群れのように山にのぼってくる村の人たちの姿が見えました。
「遅い。遅い。もっと早くのぼって来い!」
五兵衛には村の人たちの歩みが蟻より遅く感じられました。日は沈みかかっていました。
一番最初に村の若者たちが二十人位やって来ました。若者たちはすぐに火を消そうとしました。
「うっちゃっておけ!」
五兵衛が叫びました。
「早く、村中の人をここへ集めるのだ!…大変だ!」
(中略)
「おじいさんは気がちがってしまったんだこわい!」
忠が叫びました。
「おじいさんはわざと稲に火をつけたんだ!」
忠は泣きながらそう皆に訴えました。
「そのとおりだ!」
五兵衛が叫びました。
「わしは稲に火をつけた。みんなここへ来たか。」
その声に村のまとめ役があたりを見回して言いました。
滝の村は家nuesing
「みんなおります。」
その時、五兵衛が沖の方を指差して、力いっぱいの声で叫びました。
「来たぞ!!」
みんなは五兵衛の指差す方を見ました。日が落ちた、薄暗い、はるか水平線のところです。
ひとすじの線がそこにあらわれました。
その線は見ているうちに太い線となりました。
そして、その太い線はみるみる高くなり、大きな壁のようになると、トビが飛ぶよりも速く、こちらに向かって押し寄せて来ました。
「津波だ!」
今度は村の人たちが叫びました。
ドドーン!!
その巨大な海のうねりは、山々をもとどろかすように重く、これまでに聞いたことのない音 ―百の雷が一度に落ちたような音―を伴って、海岸にぶつかりました。
そして、その波は、あたりが何もみえなくなるような水けむりをあげました。
人々はおそろしさのあまり、悲鳴をあげ、後ずさりしました。
恐る恐る下の方をのぞくと、村の家々の上を荒れくるいながら通ったおそろしい海がそこにありました。
波はうねりながら沖にしりぞく時に、海岸からひとつの村をひきちぎっていきました。
それからも波は幾度も幾度も打ち寄せ、しりぞいていきました。
しばらくそんなことを繰り返しながら、波は次第に小さくなりました。そして海は元に戻りました。
津波が去ったあとには、投げ出されてくだけた岩や海藻や砂利が
残されているばかりでした。村は全く消えてしまったのです。
沖の方に草ぶきの屋根が浮いたり、沈んだりしているのが見えました。
人々は恐ろしさのあまり、声も出せず、ただポカンと口を開けたまま、その場にたたずんでいました。
「あれを知らせるために…」
五兵衛が言いました。
「稲に火をつけたのだ。」
はっと我にかえった人々は、一人また一人と五兵衛の前にひざまずき、深々と頭を下げました。
五兵衛の目には涙が光っていました。
〜物語おわり〜
【NGOアリーナ担当者より:感想】
シャンティ国際ボランティア会の支援活動報告を見てはじめて「稲むらの火」のことを知りました。
タイ語に翻訳され子ども達に配られたことは知っていましたが、「稲むらの火」がどんなお話なのかを知りませんでしたので、調べて絵本を購入しました。
きっとまだまだ素晴らしいお話があるのだと思います。ご存知の方は是非教えてください。よろしくお願いいたします。
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