3月 2012
長編小説を書くための三つの道具
小説は敷居の高いメディアだ。
映画やアニメ、マンガの手軽さには敵わない。エンターテインメントに限れば、そういう手軽なメディアのほうが面白いに決まっている。
ならば小説は、どうすれば他のメディアと戦えるようになるのだろうか。
重要なのは、小説とは紙の上のインクの染みだということだ。お話を創作しようとすると、どうしても抽象的な概念として「小説」を思い浮べてしまう。ストーリー、ドラマ、キャラクター……小説を構成するすべてのものは、抽象的だ。
しかし小説を書きあげるためには、抽象的な世界だけでなく、物理に支配された現実世界に視線を移さなければいけない
レストランロチェスター高い滝
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「魅力的な登場人物を思いついた。
作品全体の雰囲気を決めた。
読者の眼を引くようなシーンもある。
オリジナリティの高いアイディアも持っている。
短編小説ならばすでに何本も書いているし、友達にも面白いと言ってもらえる。
だけど長編が書けない――」
こういう状態が続くワナビは少なくない。長編小説を書きあげるのは、それはそれは体力と集中力のいる作業だ。短編小説ならば一点集中のアイディアで切り抜けられる。短さのおかげで最後まで読んでもらえる。けれど長編小説となれば話は別だ。原稿用紙換算で300枚程度(42字×17行の文庫本ならば260ページ程度)を読み解くのは、読者にも負担となる。
ウィチタ劇場、ウィチタフォールズ、テキサス州
「長編が書けない」
ずいぶん長いこと、この状況から成長できなかった。
しかし最近になって、ようやくこの状況から脱出することができた。ので、そのきっかけとなった技巧論を書き残しておく。
前提として:
◆短編小説ばかりを書いていた頃から、プロットは必ず準備していた。
お話の全体像を決めてから筆を進めていた。
◆いつも、お話は「オチ」から考えている。
オチを決めたあとに、必要な登場人物や、周辺環境などを設定している。
◆最低限の文章力はある、と思う(勘違いかも知れないけど)
長編・短編を問わない賞で、上位0.9%まで残ったことがある。その時よりもクオリティの高い文章を書くように心がけている。
滝農場WA
こんな感じのワナビが、3つのアイテムを手に入れることで、へたくそなりに長編小説も書けるようになった。そのアイテムとは次のとおりだ。
1.三幕構成
2.シーン数の算出
3.何ページごとに「引き」を作るか
これら3つのことを知るだけで、とりあえず300枚の原稿用紙が怖くなくなった。
では順番に、これらの内容を説明していこう。
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1.三幕構成
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